そうか。
うんうん、なるほど。
「ねぇ、アキラのことアッキュンてよんでもいい?」
「絶対に嫌だ」
「いや、雑誌の占いにね、恋人同士特別な呼び方で呼び合うのが吉って書いてあるんだ」
俺は雑誌をアキラに見せようとした。
「また占いか…」
片手をヒラヒラと振って拒否の仕草を見せると、アキラは呆れた顔でため息をついた。
どことなく軽蔑するような視線を感じる…。
「お前、いいかげんにしろよ。占いなんか所詮は他力本願なんだよ」
「でも…」
「大体アッキュンなんて恥ずかしい呼び方されて恋愛成就もくそもあるか」
そう言って俺から雑誌を取り上げた。
「俺が好きなら、ケイスケのやり方でぶつかってこいよ。こんな雑誌に頼って、下手な小細工使うよりも、お前自身の考えで行動しろ。たとえ不器用でも要領悪くても俺はその方が嬉しいし、かっこいいと思う」
「ア、アキラ…」
きゅーんっ。
な、なんて男らしい…。
でも、アキラが俺にこんなに熱く恋愛を語るなんて…。
今までなかった。
ん?
まてよ。
これってひょっとして「アッキュン」効果じゃないか?
占いでは“恋人同士特別な呼び方で呼び合うのが吉”って書いてあったんだ。
つまり俺が「アッキュン」て特別な名前で呼んだことによって、二人の距離が今まで以上に縮まったってことだよな。
とすれば、ある意味あの雑誌の占いは当たってるってことになる。
すごい…マドモワゼル栄魔先生…。
「おい!聞いてるのか!?」
「え?あ、うんうん。アキラ大好き!」
「…絶対聞いてなかったろ、今…」
「聞いてたよ~」
俺はアキラに笑顔を向けながら、何度も“栄魔先生ありがとう”と心の中で繰り返した。
わたしが書くケイアキって、大概ケイスケがアキラより一枚上手だったりします。
うーん。
なんでですかね。
ケイスケをかっこよく書き過ぎ?
いや、変態にし過ぎ?
変に前向きなんですよ、うちのケイスケ…。
逆にアキラはもう少しクールにしたいんですが、勝手にテンパったり落ち込んだりと結構感情の起伏が激しかったりしますね。
すぐ鬱っぽくなるしww
本当になぜゆえ…?
でもこれはケイアキEND後に限りなんです。
トシマではやっぱりアキラがしっかりしていると思います。ケイスケはオロオロします。
2人で暮らし始めて、お互いがお互いの存在によって役割分担していった結果です。
と、思いたい_| ̄|○
ケイスケはアキラを守らなきゃいけないから、強くなったんですね。
精神的にも。
で、アキラは優しく素直になったと。
わたし設定ですけどね(´_ゝ`)
あくまでも。
拍手ありがとうございます!
励みになります!
あ、そうだ。
今回の「青春グルーミー」は完全なるパラレルです。
アキラが高校生です。
わざと不親切な描写になってます^^
わたしとしてはもう少し削れたかなと思ってますが、文章力と推敲力が足りませんでした…。
補足がなければ分からないような文章じゃダメですね。すみません…。
なんとなーく、ぼんやり青春を感じていただけたらいいのですが(汗)
いつも騒がしいので、ちょっと試しに書いてみた作品です。
毎朝一本早い電車を利用していた。
電車は一本違うだけで、驚くほどに混み具合が違う。
といっても、アキラが乗車する駅からでは座ることまではできないが。
しかしどこの誰かも分からない人に触れられたり圧されたり、あまつさえ息遣いを感じることを思えば、この時間帯の車内は十分すぎるほどに快適だ。
ただひとつ、気に入らないことがある。
こと、というより人なのだが。
同じ時間の、同じ車両にいつも乗っている青年。
扉に背中を預けて立つアキラの視界に必ず入る位置に座っている。
アキラが乗るよりも前の駅から乗っているのだろう。
制服が違うので、同じ学校ではないようだが、頻繁に目が合う。
どうやらいつもこちらを見ているようなのだ。
現に今日も何度も目が合っている。
───知り合いだったか。
あまりにもあからさまに見てくるので、ひょっとしたらどこかで会ったことがあるのかとも考えたが、全く心当たりがない。
しかも目が合うと必ず微笑んでくる。
アキラにはこれがどうにも面白くなかった。
だったら電車を変えればいいという話なのだが、他人のせいで自らのペースを乱すのも癪に障る。
一本後の電車でも十分余裕で間に合うところを、更にわざわざ早いものにしているのだ。
そう簡単に変えたくない。
居心地の悪さを感じるものの、他に害はない。
目を閉じて、見ないようにしていればいいのだ。
電車の揺れと、タタン、タタンという単調な音が心地いい。
まだ見ているのだろうか。
薄く目を開けて様子を伺うと、バッチリと目があった。
───気に入らない。
目を開けた自分に舌打ちし、すぐに視線を逸らして目を瞑る。
目を閉じても瞼の裏にヘラヘラと笑う青年の顔が貼り付いて離れない。
アキラは言い得ぬ苛立ちを覚えた。
明日も明後日も、同じ車両で同じ思いをするのかと憂鬱になり、眉をひそめた。
ケイスケが浮気している。
今日確信した。
毎日の習慣に何かしらの変化が起きるということは、日常のどこかに異常が生じていることだ。
ってテレビの心理学の先生が言ってた。
違和感を感じたのは昨日の夜。
いつもなら布団に入った後、
「アキラ…そっち行ってもいい…?」
「嫌だ」
「えへへ。寒いから一緒に寝ようよ」
「あっ、おい、やめろよ!狭いだろ!」
「ほら。こうやってくっつけば暖かいよ」
「…………」
というやりとりを必ずするのに、ケイスケが俺の布団の中に入ってこなかった。
しかも、今朝はキスもしてない。
こんなこと今までになかった。
絶対怪しい。
そういえば昼間に事務の女の子と仲良くしゃべってるの見た…。
休憩の時間にどこかに電話してるのも見た…。
いや、別にヤキモチじゃない!
好きにすればいい、ケイスケなんて!!
俺は隠し事をされたり、よそよそしくされたりすることが面白くないだけだ。
今日だって一緒に帰れるはずだったのに、一人でそそくさと帰るし。
しかも未だに帰ってこないし。
先に帰ったくせにどこで何をしてるんだ?
なんなんだよ、あいつは。
別にどうでもいいんだけど。
「ただいま~」
玄関から聞き慣れた声が聞こえてきた。
「遅かったな…」
「うん、ちょっと…」
ごまかすように言葉を濁した。
「アキラ、めしは?」
「いや…」
「適当に買ってきたよ」
そう言ってコンビニの袋を見せてきた。
「どこ行ってたんだよ」
「え、何が…?」
「仕事終わってから」
「あ…あぁ…」
「お前、先に帰ったろ。なのに何でこんなに遅いんだ?」
「あ!アキラは鮭弁当と唐揚げ弁当どっちがいい?」
「話を逸らすなよ」
俺はケイスケを睨んだ。
「あれ…何か怒ってる…?」
「連絡くらいできるだろ」
「ごめん…」
「お前さ、不自然なんだよ。俺に気付かれたくないなら、それなりに気を付けて行動しろよ。あからさま過ぎるんだよ」
ケイスケは驚いた表情でこっちを見ている。
俺は何をイライラしているのか、言葉が止まらなかった。
「こそこそと俺を避けるような真似して。ただでさえ、嘘付くのが下手くそなくせに、バレてないとでも思ってるのか?」
「……バレてたんだ……」
「…やっぱりそうなんだな」
「ごめん…」
「ごめんてなんだよ。別に俺に遠慮する必要なんてないだろ!コソコソしなくたって、堂々とすればいい!他に好きなやつができたなら、それで別にいいし…」
「え!?ちょ、なに!?何のこと!?」
ケイスケが慌てて俺の言葉を制した。
「アキラ何言ってるの…?」
「え…」
ケイスケはカバンから、白い小さな紙袋を取り出して俺に見せた。
「うちだ内科…?」
「なんか…風邪ひいたみたいで…」
「風邪!?」
「昨日から調子悪かったんだけど、昼間事務の女の子に聞いたら、いい病院があるって…。だから予約入れて、仕事終わってから急いで行ってきたんだ」
「な……!」
な…なんだそれ……。
てゆーか、風邪だったら別に隠す必要なくないか?
いちいち紛らわしいんだよ、行動が!
「アキラに心配かけちゃ悪いと思って言わなかったんだけど、なんか…別の心配させちゃった…?」
「………」
「浮気してると思ったんだ?」
「………」
「同じ布団で寝たり、キスしたりしたら風邪がうつると思ったから、あまり近くに寄らないようにしてたんだよ」
「………」
「アキラ…そんな顔しないで…?」
俺、今、どんな顔してる…?
絶対に間抜けな顔をしてる…。
ケイスケがそっと俺の頬に触れた。
びくりと体が反応した。
「……っ」
「アキラ…ごめんね」
ケイスケが泣きそうな目をしてる。
何で…お前がそんな顔する?
結局は全部俺の思い過ごしだった。
別にケイスケが謝ることなんかない…。
俺が勝手に勘違いして、不安になって、ムカついて…。
…………うぁ。
冷静になるほどに恥ずかしさが込み上げてきた。
ああ、最悪だ………。
俺は両手で顔を覆った。
「アキラ、顔真っ赤…キスしてもいい?」
「風邪が、うつる…」
「いや…?」
「…いやだ…」
「本当に?嫌がってないみたいだけど?」
いつもそうだ。
優しく問いかけてるようで、俺の答えなんか聞いてない。
なんだかんだ言ってこいつは強引だ。
「ケイスケは、ずるい…」
「アキラ…」
「ん…っ」
「風邪うつったら看病してあげるから…」
「…んぅ…む……」
まぁ、拒めない俺も俺なんだけど…。
よく考えたらケイスケが浮気するほど甲斐性があるわけないのに。
「アキラ…好きだよ…」
いつの間にかケイスケに組み敷かれていた。
なすがままにされながら、ぼんやりとそんな風に思った。
妙に可笑しかった。