そうか。
うんうん、なるほど。
「ねぇ、アキラのことアッキュンてよんでもいい?」
「絶対に嫌だ」
「いや、雑誌の占いにね、恋人同士特別な呼び方で呼び合うのが吉って書いてあるんだ」
俺は雑誌をアキラに見せようとした。
「また占いか…」
片手をヒラヒラと振って拒否の仕草を見せると、アキラは呆れた顔でため息をついた。
どことなく軽蔑するような視線を感じる…。
「お前、いいかげんにしろよ。占いなんか所詮は他力本願なんだよ」
「でも…」
「大体アッキュンなんて恥ずかしい呼び方されて恋愛成就もくそもあるか」
そう言って俺から雑誌を取り上げた。
「俺が好きなら、ケイスケのやり方でぶつかってこいよ。こんな雑誌に頼って、下手な小細工使うよりも、お前自身の考えで行動しろ。たとえ不器用でも要領悪くても俺はその方が嬉しいし、かっこいいと思う」
「ア、アキラ…」
きゅーんっ。
な、なんて男らしい…。
でも、アキラが俺にこんなに熱く恋愛を語るなんて…。
今までなかった。
ん?
まてよ。
これってひょっとして「アッキュン」効果じゃないか?
占いでは“恋人同士特別な呼び方で呼び合うのが吉”って書いてあったんだ。
つまり俺が「アッキュン」て特別な名前で呼んだことによって、二人の距離が今まで以上に縮まったってことだよな。
とすれば、ある意味あの雑誌の占いは当たってるってことになる。
すごい…マドモワゼル栄魔先生…。
「おい!聞いてるのか!?」
「え?あ、うんうん。アキラ大好き!」
「…絶対聞いてなかったろ、今…」
「聞いてたよ~」
俺はアキラに笑顔を向けながら、何度も“栄魔先生ありがとう”と心の中で繰り返した。