アルビトロの城までは、簡単にたどり着くことができた。
扉の前にはいつもの強面の男が立っていて、俺たちを見つけるなりじろじろと視線を投げつけてきた。
「アキラァ…大丈夫かなぁ…?」
俺の心配をよそにアキラはすたすたと門番のところまで歩いて行った。
「何の用だ?」
「アルビトロに会いたい」
「約束は?」
「ない」
「なら帰れ。アルビトロ様はお忙しい。お前らなんかと遊んでいる暇はない」
予想通り門前払いだ。
だけどアキラも食い下がる。
「いるんだろ?聞きたいことがあるんだ」
「おい貴様!しつこいぞ!」
アキラと門番が一触即発の状態になった。
その時、城の扉がゆっくりと開いて、見覚えのある2人組が現れた。
「さっきからうるせぇなぁ…」
「ああ?つーか昼寝の邪魔だっつーの!」
処刑人。
「アキラまずいよ!」
慌ててアキラに駆け寄る。
「あっれぇ~?どっかで見たことあると思ったら…ねこちゃんじゃ~ん♪♪」
「ひっ」
鉤爪の方が嬉しそうな顔で俺に近づいて来た。
思わず後退りした。
どん。
背中が何かにぶつかった。
壁…?
こんなとこに壁なんて…。
振り返ると、鉄パイプを担いだ大男だった。
「よぉ。お嬢ちゃんさぁ、こんなとこまでわざわざ来るなんてよぉ、よっぽど欲求不満らしいなぁ…」
ニタァ、と笑う。
こ、怖っっ!!!
「ちょうどいい。俺たちアルビトロに用があるんだ」
ちょ、マジですかアキラ!?
動揺しまくる俺に目もくれず、処刑人に向かって臆することなくアキラが話しかけた。
「あぁ?ビトロにぃ…?」
「ワン公はさぁ、多分パパの好みじゃないぜ?ハッハァー」
鉤爪はアキラを上から下まで舐めるように見ると、鼻で笑い飛ばした。
……笑われてるの、俺…だよな……?
「別に好みじゃなくてもいい。ちょっと聞きたいことがあるだけだ」
処刑人2人は顔を見合わせるとしばらく思案しているのか、黙っていた。
「なぁーんかさ、面倒くせぇから入れちゃえばいんじゃね??」
「おぅ」
そんなわけで、意外にもあっさりと中に入ることに成功した。
バカでよかった…。
城にはいつものように、イグラへの参加希望者が集まっていた。