「アキラ…だよな?」
ケイスケが恐る恐る白シャツに話しかけた。
白シャツは「うん」と短く答えるとケイスケの顔ををじっと見た。
「???」
しばらく穴の開くほどケイスケを見ていたが、ふいと視線を逸らし、小さく溜め息をついた。
「ケイスケってさ、パッとしない男…」
「!?」
「俺、よくもこんな冴えない男と何年も付き合ってきたなぁ」
うわ。
今こいつ、さりげにとんでもない発言を。
横目でケイスケを見やると、俯いて小刻みに肩を震わせていた。
「ほーんと、シキとは正反対。見るからに将来性が丸でないとことか、オーラや足の長さとか。あ、そうだそうだ睫毛の長さも」
いや、睫毛は別にいいだろ。
にしても、言いたい放題だな、こいつ…。
ケイスケが真っ青な顔をして俺の方を見た。
目は完全に見開かれ、口が半開きだ。
これは相当なショックを受けているな。
よし、ここは親友として一発フォローするべきだな。
俺はケイスケの肩に手を掛け、できるだけ優しく声をかけた。
「ケイスケはケイスケだろ」
「………!!!」
俺の渾身の励まし虚しく、テーブルに突っ伏してわんわん泣き出してしまった。
あれ。ひょっとしてフォローの仕方間違えたか?
まぁ、いいか。
それはそれで。
「おい、それはそうとお前は一体何者なんだよ」
「アキラだけど?」
「アキラは俺だ」
「俺もアキラだよ~☆」
「全然違う!」
俺はテーブルを力いっぱい叩いた。
俺はこんなエロいしゃべり方しないし、エロい表情しないし、エロい格好もしない!
肌なんか絶対露出しない!!
てゆーかなんでこいつは存在自体こんなにエロいんだ!!!
俺は全然エロくないぞ!!!
それに第一シキなんかと行動するわけがない!
「フ…これは間違いなくアキラだ」
カルピスを片手にシキが戻ってきた。
「アキラ、カルピスだ。好きなだけ飲め」
「ありがとー♪」
白シャツにカルピスを渡すと、シキが椅子に腰掛ける。
「ただし、この世界とは別の世界のアキラだがな」