「アキラ。お茶入ったよ」
「ああ…」
夕食の後に飲むアキラのお茶は、少し薄めのお茶。
ケイスケは渋めのお茶。
「最近は冷えるよね。雪が降ったとこもあるみたいだよ」
「雪?ずいぶん早いな。まだ11月だぞ」
「アキラ、風邪ひくなよ」
「ケイスケもな」
こうして他愛のない話をする日常。
毎日退屈な日々が丁度いいし心地いい。
「ケイスケ」
「何?」
少し間をおいて。
「いつも…ありがとな」
「な、何!?アキラどうしたの?」
「俺は、こうしてお前と過ごす毎日が当たり前だと思いたくない。
今こうして過ぎる時間も見える景色も、すべてだ。
お前がいなかったら俺には何も感じられなかったし、何も見るとこはできなかった」
「アキラ………」
アキラは小さく微笑むと、ケイスケのいれた薄めのお茶を飲んだ。
「だけど…お前が一緒だったから…」
湯呑みを持つアキラの手を、ケイスケは両手で覆った。
「アキラ、これからもずっと二人で同じ時間を過ごそう?同じ景色を見ていこう?」
「ああ…」
11月22日
いい夫婦の日