「アキラ、起きて」
カーテンを勢いよく開けた。
外はすこぶる快晴だ。
「いい天気だな」
「うん」
アキラが眩しそうに目を細める。
こんな毎日が。
こんな毎日がこれからもずっと続けばいい。
アキラと一緒に。
ずっと。
「…なんだよ」
「え、なにが?」
「さっきからこっち見てニヤニヤしてるだろ」
しまった。
ついニヤけていたらしい。
でも、こういうのって、なんかこう……ふ、ふ、夫婦…みた、い…だよな。
「…今、夫婦みたいって思ってただろ」
「はっ…!!」
アキラが呆れた顔でこっちを見た。
俺ってどこまでも間抜けなんだよな。
「本当にいい天気だ~」
図星をつかれて、ごまかすように大きく伸びをした。
「……………」
「う………」
気まずい沈黙が痛い。
「いやあの、アキラと、け、け、結婚、できたら、いいな、とか…?」
「……………」
うあ。
やっちゃった…。
こんな気持ちのいい朝に、自己嫌悪。
なにやってんだろ俺は。
「結婚て…」
アキラはあからさまに大きなため息をもらす。
当然だ…。
「男同士で結婚できるわけないだろ」
「だよ、ね……」
そうだ。
アキラは正しい。
男同士で結婚なんてバカげてる。
できるわけない。
だけど…
俺は…
言葉が出ずに俯いた。
「ケイスケとトシマを出た時から…、お前とは一生一緒にいるんだって、漠然とだけどそう思ってる」
「え…」
「今までもこれからも、ずっとそういうつもりだ」
「アキラ…」
太陽の光が当たり、白いアキラの肌が透けるように見えた。
眩しくて、眩しくて、思わず目を細める。
だけどこのままアキラがすーっと消えてしまうような気がして、目を閉じることはできなかった。
あまりにも脆い、儚いもののように感じて。
触れたら壊れる?
だけどゆっくり手を伸ばして、そこにいるものが本物がどうか確かめずにはいられなかった。
「アキラ…」
頬に触れると、じんわりと温かかった。
くすぐったそうな表情をするアキラを見て、思わずそのまま引き寄せて抱きしめた。
「ケイスケ…」
「うん…」
「お前は、料理も掃除も得意だし、家計も安心して任せられる。それに、俺のことも良くわかってくれてる。だから、これからもよろしくな」
「うん」
あれ。
それって俺が奥さんてこと……?
Happy Wedding?
Keisuke Akira
3・15