「ジャン、節分て知ってるか?」
突然のベルナルドからのクエスチョン。
「へ?節分?んー……何の日だぁ??」
コーヒーをすすりながら考える。
「だめだ~。わかんねえ」
「ジャパンではな、災いを外に出し福を呼び込むために豆を撒くらしい」
“おにはーそと、ふくはーうち”
ベルナルドが豆を撒くジェスチャーをしながら変な呪文を唱えた。
「そーんなことで幸せになれんなら、ラッキードッグはいらねーな」
風習ってのは本当によくわからん。
「でな、恵方巻というものを食べるそうだ」
「えほーまき?」
「一応スシ、なんだが、ご飯と具を海苔で巻いてあるらしい」
「へー。スシロールかあ」
「それを、縁起のいいといわれる方角、つまり恵方を向いて食べることから恵方巻と呼ばれているそうだ」
日本人てのは、験担ぎが好きねえ。
ま、俺たちマフィアもなんだかんだで、オメルタだどーだと掟やら習わしなんかに縛られて、振り回されてんだけど。
「ちなみに恵方巻のサイズはこれくらいだ」
「うん。わかったからズボン上げろ」