「ベルナルドぉ、出掛けんのか?」
俺が声をかけると、上着に右手を通しかけたベルナルドがこちらに顔を向け「ああ」と答えた。
「美容院に行こうと思ってね」
「おー、ついに丸刈りけ?」
「……っ!?し、失敬な……!そんなにヒドくはない!」
「………………」
「え?だめ?そんなにヤバイか?オレ……」
ベルナルドは青い顔で鏡を覗き込んだ。
前髪をつまみ、右から左から細かくチェックする。
その様子があまりにもおかしくて、俺は思わず吹き出した。
「ぶっ、バーカ。冗談だよ」
「ジャン……」
ベルナルドに思いっきり睨まれた。
「気にしすぎ」
「気になるさ」
ベルナルドは再び上着を着ると俺に背を向けた。
「じゃあ行ってくるよ」
「薄くても愛してるぜ、ダーリン♪」
「ふ。心強いよハニー」
end