土日を返上して仕事してると、時間の感覚がかなり薄れる。
忙しいのも今週いっぱいだとは思うけど、乗り切る自信がない……。
油まみれの状態で家に帰ると、部屋が真っ暗だった。
アキラはすでに寝ていた。
「アキラ、明日早出だもんな…」
何気なく呟いて、はっとする。
───クリスマス一緒に過ごせるのか?
「………」
これだけ忙しいと、クリスマスに定時にあがるのって無理じゃないか?
俺は玄関に立ち尽くす。
考えてもみなかったが、有り得ない話じゃない。
今年のクリスマスは平日なのだ。
気づいてしまった事実と可能性にしばらく呆然とする。
ふと足元を見ると、アキラの靴が無造作に脱ぎ捨てあった。
相変わらずだな…。
苦笑しながら、靴の向きを整える。
「あれ…」
アキラの靴、かなりボロボロだ…。
お互いの服に関して口出すことはない。
自分の身の回りの物は各々で買うから気付かなかったけど…。
ずいぶんと無頓着だな…。
真っ黒だし、底がかなりすり減ってるじゃないか。
「靴、買ってあげようかな…」
もちろんアキラが靴を欲しがっているとは思ってない。
でも、こんなにボロボロなんだから、新しい靴を買ってあげたい。
クリスマスまであと3日…。
とりあえず靴を買いに行こう。