工場で一緒に働いている佐々木さんが、クリスマスプレゼントに家族を旅行に連れて行くって言ってた。
旅行かぁ。いいかも。
アキラと一緒に旅行とかしたことないもんな。
でも今からじゃ宿の予約は絶対無理だよな…。
俺って本当にダメだよな。
気がまわらないというか、要領の悪いところは昔からだ…。
アキラが俺と旅行に行きたいって言ってくれないかな。
それとなく聞いてみよう。
「アキラさ、どっか行きたいとこない?」
「別に」
「例えばさ、楽しいところでさ」
「ない」
「ディズニーランドに行きたい!」
「お前が行きたいんだろ」
やっぱりアキラからは言ってもらえなかったから、自分から切り出してみた。
我ながら情けない、よな…。
「なんだよ、いきなり」
「クリスマスだし、デートしようよ!思う存分クリスマスムードを満喫できるし」
「…………」
アキラは明らかに気が乗らないという表情をしてる。
やっぱダメか。
どうせ混んでるしな…。
アキラは人混み嫌いだし。
分かっていたけど、がっくりと肩を落としてうなだれる。
「お前……」
「え?」
「お前、オレのクリスマスプレゼントは決まったのか?」
ぎくり。
「ま、まだ…」
アキラが小さくため息をつく。
…そうだよな。アキラのプレゼントを考えていたはずなのに、いつの間にか自分の希望をアキラに押しつけてた。
俺って最低だよな。
「サンタがちゃんとプレゼントくれたら…その、俺が…俺が連れてってやるよ…」
「ほ、ほんと!?」
「ああ…」
嬉しさのあまりアキラに抱きつこうと両手を広げてダイブした。
が、
ひらりとかわされた。
俺はそのまま顔からつんのめる。
「いちいち抱きつくな」
「アキラァ…」
鼻血まみれの顔を抑えながらニヤニヤする俺。
でも…ますますわからない。
アキラの欲しいものって何だ!?
クリスマスまであと5日しかない!!