「お前の相手は、俺だぁっ!」
シキの後ろから、小さな影が飛び出した。
「!?」
シキが素早く振り返る。
なんとリンだった。
「見つけたぞ、シキィっ!」
リンが武器のスティレッドを構え素早くシキの懐に入る。
それを後ろに飛んで軽くかわすシキ。
しかしリンも更に地面を蹴って間合いを詰める。
は、速いっ!!
「フン、雑魚が何匹増えたところで同じことだ」
日本刀を構え直すシキが赤い双眸をかすかに細めた。
「フフ…雑魚はどっちか、すぐにわからせてやるよ…」
リンが舌なめずりをした。
なんか…いつもと表情が違う…?
「ケイスケ…今の内だ」
アキラが呆然とする俺の腕を引いて走り出した。
「あ…う、うん…!!」
シキが追って来ないか気にしつつ、俺は走り出した。
「はぁっ、はぁっ…」
「ここまでこれば安心だな」
「アキラ…ありがとう」
「怪我は?」
「ないよ。ごめん…」
バーの前まで全力で走ってきた俺たちは、素早く水とソリドを交換してホテルに戻った。
リンは、まだ戻ってきていなかった。
「リンは?」
「いや、出て行ったきり戻ってこんなぁ」
源泉さんはタバコをふかしながら、ロビーで寛いでいた。
「これ…水とソリド」
「おう」
「おっさん、まだここにいるか?俺たちは出かける」
アキラが交換してきた物を源泉さんに渡しながら告げる。
出かけるってどこに…?
「城へ…行ってくる」
「ええっ!?」
思いもよらぬ場所に大声をあげる。
城って、アルビトロの城!?
「あいつなら…何か知ってるかもしれない。この体のこと」
そうか。
俺とアキラの体が入れ替わったこと、ひょっとしたらアルビトロが何かしたのかもしれない。
イグラというゲーム、そしてこのトシマを支配するアイツなら。
「行くぞ、ケイスケ」
「うん!!」
つづく