端正な顔。
吸い込まれそうな赤い瞳。
やたらめったら長い下睫毛。
全身黒レザーに日本刀。
この人は…
「ケイスケっ、そいつから離れろっ」
アキラの声で我に返る。
「え…アキラ?なんで…」
なんでここに?
そう言いかけて。
「そいつはシキだ!離れろっっ」
シキ…?
シキ!?
そうか、シキだ!
日本刀を持ったトシマの通り魔!!!
シキの通った後は草一本生えないという…
「あ…あの…お…れ…」
どうしよう。
足がガクガクだ。
「貴様、なんだその腑抜けた面は…」
胸ぐらを掴まれて引き寄せられた。
うあ。
なんか怒ってるし。
思わず目を逸らす。
「…今すぐここで切り刻んでやる」
胸ぐらを掴んでいる手に力が込められた。
足がわずかに地面から浮く。
「っ…」
ヤバい。声が出ない。
俺このまま死ぬのかな。
アキラに好きって言えばよかった。
いや、今こそ言っちゃうか?
アキラに告白しちゃうか?
シキが日本刀を振り上げる。
「!!」
もうダメだ!
固く目を瞑る。
ギィンッ
金属のぶつかり合う鈍い音が響いた。
それと同時に後ろに弾かれた。
「ケイスケ、下がれっ」
「うわっ」
思わずしりもちをついた。
慌てて顔を上げると、ナイフで応戦するアキラの背中が見えた。
「アキラっ」
「ケイスケ、大丈夫か!?」
あわわ。
かかか…かっこいい!!!
これ、ビジュアル的にはアキラを守る俺ーーー!!!
「だから俺も行くって言ったろ」
「っ、…ごめん…」
どうしよう。
また、迷惑をかけてしまった。
アキラの手を煩わせてしまった。
「雑魚共が…」
シキは日本刀を低く構えると、アキラの懐めがけてすごいスピードで飛び込んできた。
アキラは紙一重にそれを受け流して、シキの左側にうまく回り込んだ。
「ふん」
シキが口の端をわずかに上げて笑った。
「!?」
「貴様の動きが、この俺に通用すると思うか?」
シキの日本刀が流れるようにアキラに向かう。
「アキラっ!」
つづく