場の雰囲気に似つかわしくない間延びしたような、鼻にかかったような、のん気な声が響く。
一瞬で凍りついたような緊張感が破られた。
「で。オシッコ、出たの?」
「……………」
「出なかったの?」
「……………」
「ばか」
「!?」
シキが俺から目線を外して、白シャツを振り返った。
「シキは俺のこと愛してないんだ…」
「そんなことはない!」
「ウソ!口ばっかりじゃん!俺のこといつも1人にして!」
「アキラ…」
シキが白シャツの肩をそっと抱いた。
「バカバカバカ!シキのバカ!」
白シャツが泣きながらシキの胸をポカポカと殴る。
まるで駄々っ子だ。そんな白シャツをシキは愛しそうに見つめていた。
「俺様野郎!サディスト!DV男!えーん!」
「アキラ…」
腕の中で泣きじゃくって暴れる白シャツをなだめながら、何度も頬に軽く唇を落としていた。
「早漏!!!!!」
「!?」
「シキの早漏!早漏早漏早漏早漏早漏早漏早漏そうrんむっ!?」
「れ、連呼するな!」
顔面蒼白のシキが白シャツの口を抑える。
ちらちらとこちらを伺う視線を投げていた。
うん。
これは恥ずかしい。
「暴露されたな……」
「違う!俺は早漏じゃない!」
「違わないじゃん!」
シキの手を振りほどいて、白シャツがこっちへ駆け寄ってきたた。
ケイスケの後ろへと身を隠す。
「シキなんてさ、即挿れ即出しだもん!前戯もピロートークも無しだしさ!その割に回数だけは人の3倍くらいやろうとするし!つまんない!」
「………ッッ」
額にびっしりと汗を浮かべて、シキが言葉を詰まらせる。
かなり動揺してる様子だ。