「ア、アキラ…」
ケイスケがはっとして白シャツを突き放した。
「あン」
急に押されて白シャツがよろめいた。
そこへタイミングがいいのか悪いのか、トイレから戻ってきたシキの声が響いた。
「貴様っ!アキラに何をしている!?」
体勢を低く構え、日本刀を素早く抜いた。
滑るような速さでこちらへ向かってきた。
「ケイスケ!」
とっさにケイスケの服を引っ張り、身を引かせた次の瞬間にはその場所をシキの日本刀が切り裂いていた。
「あ、あっぶなっ…」
「ひ、ひぃ~…」
ケイスケが情けない声を上げて、その場にへたり込む。
「危ないだろ!」
俺が睨みつけると、シキは涼しい顔をして日本刀の先をケイスケへと向けた。
「そこの雑魚がアキラを誘惑するからだ。身の程をわきまえろ」
「ふざけるなよ。誘惑したのはそっちの白シャツの方だろ!」
「アキラがこのクズを?フン。馬鹿を言うな。ふざけてるのは貴様の方だ」
「違う!こいつはケイスケを…!」
思わずシキの胸ぐらを掴んだ。
まさに一触即発だった。
「シキ~」